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第30回「こだわりに対する対処法」(令和3年1月分)

更新日:2021年3月5日

ページ番号:46464655

自閉スペクトラムをもつ子どもの大きな特徴は「こだわりが強い」ことです。
物の位置や服装、食べ物(偏食)など物質的なこだわりから、
スケジュールやルールの順守、頑なな思考(融通がきかない)といった考え方のこだわり、
特定の音や刺激に敏感であるといった感覚的なこだわりもあります。
 
外来診療では日々の困りごとへの対処法について保護者と一緒に考えていきますが、
最も多く寄せられるご質問は「こだわりに対する対処法」です。
 
こだわりに付き合う

 
まず、こだわり特性は生涯消えることなく続きますので
「なんとかしてこだわらせなくしよう」という考え方は捨ててください。
 
ただ、子どもがこだわる内容・質は成長とともに変わっていきます。
いつまでも今の(困った)こだわりが続くわけではないと考えてよいです。
 
よいこだわりを増やす

 
次にこだわりを3つに分類してみましょう。
「よいこだわり」「悪い(やめてほしい)こだわり」「どちらでもないこだわり」と。
 
寝る時間を厳格に守る、昆虫について博学である等は「よいこだわり(もしくは長所)」と言えます。
よいこだわりを見せてくれた際は奨励し長所を生かせるよう援助します。
 
物の位置にこだわる、決まった服しか着ない等の
周囲が合わせてあげれば誰も困らないこだわりは「どちらでもないこだわり」です。
これは基本的にやめさせる必要はありません。
子どもの思い通りになるように合わせましょう。
長い目でみれば別のこだわりに移行したり、それなりの柔軟性をもっていきます。
 
「よいこだわり」と「どちらでもない」こだわりが増えると、相対的に「悪いこだわり」の場面が減ります。
おそらく「よい」「どちらでもない」が保障されていることで、子どもが一定満足するからだと思います。
 
悪い(やめてほしい)こだわりへの対処

 
では本人にとっても周囲にとっても害があると思われる
「悪い(やめてほしい)こだわり」にはどう対処すると良いのでしょうか。
 
最も大切なのは予防です。こだわる対象・場面に遭遇させない、見通しを伝える、などの対策を講じてください。
例えば、特定のお友達にどうしても手が出てしまう場合、対象児と会わないのが一番です。
「お互い成長したらまた会おう」でいいのです。
 
次にルールの徹底です。お買い物に行った際に毎回お菓子をねだる、というこだわりの場合、
買える日と買えない日の違いは子どもには分かりづらく、癇癪を起して買ってもらえた経験だけが強化されます。
子どもの年齢や発達段階に応じて本人にもわかるルールを示し、一旦決めたルールは厳守してください。
 
家族全員ガーデンズに行った日だけ、大人の買い出しに付き合ってくれたご褒美で買える 」などです。
(赤文字部の条件を満たさないと買えないということです。この時、ルールの設定が子どもにとって妥当か、
 子どもの意見も反映されているかには注意が必要です。)
 
最後に、こだわりから大きな癇癪やパニックになった際ですが、これはもう静かに見守るしかありません。
こだわり対象から速やかに離れ、落ち着ける環境下でクールダウンさせます。
 
クールダウンできたあとは(親もクールダウンしましょう)
できるだけ何事もなかったかのように接してください。
パニック場面を思い出させるような振り返りはクールダウン直後は行わず、少し時間をおいてから行います。
 
振り返りですが、パニック時の子どものつらい気持ちに共感することに重点をおきましょう。
そのうえで次はどう行動すればよいのかを提案してあげてください。
せっかくの振り返りが子どもにとっては「否定された」「ダメ出しされた」と受け止められかねないからです。
 
こだわりへの対処は我々専門家でも頭を悩ますことがあり一筋縄ではいかないと思いますが、
上記を基本対策として参考にしてみてください。
 
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式twitterで随時お知らせしております。
 引き続きご参照ください。

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