第44回 「“おしい!”サポート、“Good!”なサポート」(令和5年12月)
更新日:2024年3月19日
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保育所や幼稚園の先生とお話したり、施設訪問させていただく機会がたびたびあります。
先生方が人手不足の中、全力かつ笑顔で子どもたちと日々接しておられる姿をみるたびに頭の下がる思いになります。
個人的な印象ですが、最近では子どもに無理やり強制させるような保育指導はめったに見られなくなり、
一人ひとりの個性・発達凸凹の理解に努め、受容的に関わっておられる先生が増えたように感じています。
発達障害に対する理解と基本的な支援方法が浸透してきているとすれば私にとって大変うれしいことです。
一方で、先生からよく寄せられる質問・相談(悩み)もあります。
「“支援”と“甘やかし”の線引きが難しい」
「丁寧に指導しているつもりだがなかなか成長に繋がらない」
「子どもの気になる点について保護者への伝え方が難しい」
などです。
具体的にお聞きすると、「悪くはないが“おしい”対応になっている」場合がしばしばあります。
例えば自閉スペクトラム症の子がパニックになり物を投げてしまった際の対応について、
ある先生は「パニックになった後に“物を投げるのはよくないね、困ったら先生に言ってね”と丁寧に伝えています」
とのことでした。
この対応は〇ではあるのですが「パニックになる前に声かけをして、気持ちを静める手伝いをする」
ができれば◎となります。
このような◎の対応が増えると、子どもも支援者も成功体験が増え、共に成長できます。
さて、今回は一冊の書籍をご紹介します。
「発達凸凹キッズがぐんと成長する園生活でのGood!なサポート」
石川道子・三輪桃子著(中央法規 2023)
本書では発達障害やその傾向を持つ子どもが、集団活動で直面しがちな困難に対して「おしい!」サポートと
「Good!」なサポートに分けて紹介しています。
著者は小児科医と言語聴覚士で、子どもの発達についての専門知識だけでなく保育現場の実情にも精通しており、
豊富な経験に基づく「Good!」な対応例を具体的に提示されています。
様々な場面での関りがなぜ「おしい!」のかを知ることで、
発達凸凹のある子どもの感じ方・考え方をより深く理解できると思います。
更に「保護者と良い関係を築く6つの方法」の紹介や、「就学後のサポート」についても分かりやすく
解説されているので、保育士だけでなく子どもに関わるあらゆる職種の方にお薦めです。
もちろん保護者にも読んでいただくことで家庭での関りに応用できるでしょう。
園生活や就学後にどんな点に注意し、先生と連携すればよいかの参考書としても活用できると思います。
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式X(旧Twitter)で随時お知らせしております。引き続きご参照ください。