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第15回「発達と愛着」(令和元年6月)

更新日:2019年9月19日

ページ番号:47863831

発達外来で保護者の方によく聞かれる質問をもとにこのコラムを書かせていただいています。
 
発達障害もしくはその傾向があることを保護者に説明し、
診断に基づいた関わり方についてもお話すると、
「私(親)の接し方、育て方が良くなかったのでしょうか?」とよくご質問いただきます。
 
発達障害は「少数派の育ち方をするタイプ」ですから、
多数派の育児方法(一般的によいとされるものや、保護者自身が親から受けた育児スタイル)
がうまくいかないことがあります。
 
なので、わが子の特性を把握し、
子どもに合った関わり方を知ることはこどもにとっても親にとっても有益でしょう。
 
ですが、「今まで間違っていた。取り返しのつかないことをしてしまった」と落ち込む必要はありません。
どんな子どもでも「生活リズムを整える」「身の回りの世話をしてあげる」など基本は通常の育児と同じです。
90%くらいの対応は間違っていなかったのです。
親にとって育児上の困り感がでてきたということは、少しベクトルや発想を変えるタイミングとも言えます。
残り10%くらいをこれから変えていけばいいのだ、と前向きにとらえてください。
 
愛着の問題が昨今話題になっています。
 
前回コラムでお伝えしたように、親の育て方・愛着形成の有無は発達障害の症状の出具合に影響を与えます。
こどもが親に対して安心感・信頼をしっかりもてることが発達にとって重要であることは間違いありません。
子どもが「ぼく(わたし)のこと分かってもらえてる!」と感じられる親子関係の場合、
発達にも好影響を及ぼすと思われます。
 
一方、発達障害の特性を持つこどもは、一般的に育てにくいものです。
「言うこと聞かない」「目が離せない」「しつこい」など、、。
そんな子どもに対して親がきつく叱ったり、スマホ育児に走るのも無理ないことです。
 
ではどうやって健全な愛着形成を育むのでしょう?
 
まず子育てへの困り感を相談できる相手・場をもってください。
地域の保健師さんやこども未来センターにも相談できます。
お母さんがひとりで悩みを抱え込むのはこどもにとっても良くないことです。
 
子どもの特性について知る機会をもつのも大切です。専門機関で評価を受け、少数派な部分を知ると、
おのずと対応も知ることができます。残り10パーセントの「少数派育児のヒント」を手に入れるのです。
 
虐待や不適切養育(ネグレクト)を受けた子どもは、
もともと発達障害の素因がなくても二次的に発達障害様の症状をきたすことがあります(反応性愛着障害)。
身体だけでなく、精神的にもダメージを受けるということです。
またこの場合のダメージは癒すにはとても時間がかかります。
 
意図的な虐待・ネグレクトは絶対に許されないものですが、
子どもへの接し方が分からず意図せずして起こる虐待・ネグレクトは親子にとってとても不幸なことです。
 
「虐待は許さない」と監視する目は一定必要ですが、
親であればだれでも「意図なき加害者」になる可能性があります。
当事者は多くの場合必死で、誰かに相談する余裕がありません。皆さん一人ひとりが支援者になれます。
まわりに困っている親子がいれば手を差し伸べていただきたいと思います。
こども未来センターも力になります。

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