第42回 「 発達検査の使い方、解釈について」(令和5年4月)
更新日:2023年8月9日
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こども未来センター診療所では、初めて診察を受けられる方には原則発達検査を受けていただいています。
また経過に応じて再評価目的で発達検査を数年おきに実施する場合もあります。
今回は「発達検査」とは何か?についてお話します。
発達検査には様々な種類があります。
子どもの心理状態を調べるものもありますが、私たちが主に実施しているのは「知能を調べる」検査になります。
具体的には「新版K式発達検査」を就学前児、「WISC(児童向けウェクスラー式知能検査)」を
年長~小学生以上の子どもに対して実施しています。
検査結果は発達指数(DQやIQと呼ばれています)として数値化されます。
標準偏差という考え方が採用されており、
受検時年齢での平均的な知能に対してその子がどの段階に位置しているのかを計ります
(例えば発達指数が100の場合は概ね年齢相応の知能、70未満であれば年齢に比べ遅れていると推測します)。
検査全体を通じた総合的な発達指数のほか、発達分野別(例えば言語理解について等)
での指数も算出されるので、子どもの得意不得意についても知ることができます。
普段の様子からは発達の遅れは感じにくいが、学習の困難を抱えていたり対人関係で悩んでいたりするケースで、
検査をとってみると発達指数の低さや凸凹が判明することもあります。
このように、発達検査は子どもの発達状態を知るうえで重要な資料になるのは確かですが、
一方で検査結果の解釈は慎重にすすめなければなりません。
例えば自閉スペクトラム症の子どもの場合、「実際の能力よりも興味の有無で結果が左右される」
「慣れない環境(検査室や心理士)では力が発揮しにくい」など特性による影響を考慮する必要があります。
ADHD(注意欠如多動症)の子どもの場合も、誤答が知能の問題なのか不注意特性によるケアレスミスなのか、判断が難しい場合があります。
発達検査は単に数値をみるだけでなく、子どもの検査態度やコンディションなどを総合的にみて評価しなければ
誤った解釈になる恐れがあります。
専門家といわれる私たちでも結果の解釈に悩むことは多々あります。
発達検査は子どもの発達のごく一部を切り取った資料に過ぎず、
検査だけで全体像が分かるわけではないということです。
発達障害の診断においては、発達検査を参考資料としますが、
詳細な問診・診察を通じて総合的に判断しています。
発達検査を受けられた際は、数値だけを見るのではなく、結果をどう解釈し支援に生かすのかを、
担当医や心理士にご確認いただければと思います。
※こども未来センター診療所の開所状況はホームページ、公式twitterで随時お知らせしております。引き続きご参照ください。