【西宮港】議員と吏員の運動会(昭和10年11月)
更新日:2022年1月25日
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秋といえば運動会。学校や企業など市内各地でさまざまな運動会が催されます。昭和10年11月24日。この日、西宮市では市会議員と市役所職員(吏員)の運動会が初めて行われました。
改修前の西宮港
灘の生一本、「宮じゃこ」で名高い西宮の輸出拠点である西宮港は、兵庫県が昭和4年から改修工事を進めていました。
改修後の西宮港
6年の歳月を経て昭和10年10月25日、晴れて竣工が行われました。
改修工事は、港の整備とともに浚渫した土砂を利用して、港内東海岸に埋立地を造成しました。現在の朝凪町、JFEスチール(旧川崎製鉄所)の敷地です。だだっ広い、海を見渡せるその敷地の完成を記念して、昭和10年11月24日、市会議員と市役所職員(吏員)の運動会が初めて行われました。
運動会の様子は「西宮市公報」に詳細が記されています。競技の種目は
1 蹴球リレー
2 水送り競争
3 スプーンレース
4 綱引き
5 買物競争
6 生存競争
7 酒樽送り競争
8 責任リレーです。ネーミングも時代を反映してユニークです。
運動会の模様
午前10時、君が代斉唱に始まり、国旗の掲揚式、市長・議長のあいさつがあります。音楽隊の子どもがかわいらしく写ります。そして会場は万国旗がひるがえり、模擬店も軒を並べています。左端に写るのは「かんとう(関東)煮」の模擬店です。
写真5は水送り競争と思われます。出場者は、背広の上着を脱いだだけ。手に白い小さい袋のようなものをつまんでいるようです。どことなく走りに慎重さが見られます。
写真6は運動会の定番、綱引きです。後のほうに女性の姿も映ります。懸命に振られる応援旗が熱気を感じさせます。
生存競争とはどんな競技なのでしょう?記録がないためわかりませんが、トラックの内側に布製の大玉にポンプがついているので、時限爆弾のようなものかもしれません。
この写真7は目を転ずれば、改修された西宮港の防波堤が見え、漁船もいくつか見えます。模擬店はもう一つ「関東煮」の店、そのとなりに「そばうどん」「ぜんざい」の店もあります。
酒樽送り競争です。酒どころの西宮。その酒樽であれば人の背丈は軽く越えるほど大きなものです。この樽は桶かもしれません。二本の竿であやつっています。一番奥の人は転んでしまったようです。待っている人に笑いがあふれます。
「責任リレー」という競技。重大なリレーのようです。走者は背広を脱いだ姿ではなく、それなりの服装です。気合のほどが感じられます。笑顔に達成感が見えるので“責任”を果たしたのでしょう。
西宮市公報は運動会の様子を次のように記します。 「いつもは勇気付けられる『お父ちゃん』の走りごっこを手を打って笑っていた。笑われるも道理?円い身体で円い樽を転がしたり、禿げた頭に鉢巻したり、髭のおぢさんが顔をゆがめて走っている漫画に好題の爆笑物だ。が全体的に競技種目は団体的娯楽的に出来て、老荘男女共々に快活に出来るのも嬉しかった。」
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第3回市議・吏員合同運動会
これに懲りてもう二度と、ではなく、昭和11年・12年の春も越水浄水場で行われました。予想以上に盛り上がったことが伝わります。
<参考文献>
『西宮市公報』第107号(昭和10年11月20日)
『西宮市公報』第108号(昭和10年12月20日)
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