令和6年9月(睡蓮や 甲陽園の 大池に)
更新日:2024年10月10日
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てくてく歳時記
令和6年9月
明治時代末頃から、自然豊かな環境で生活する「郊外生活」が都市部の商人・知識人によって築かれました。その機運の中で、甲陽園地区も開発が進められました。今は閑静な住宅地ですが、開発が始まった大正時代は、一大リゾート地でした。大池周辺には、甲陽公園と称して、温泉・旅館・社交場・劇場・活動写真上映館・植物園・遊園地などが整備され、特に現在の阪急甲陽線が開通した大正13年以降、かなりにぎわっていたそうです。当時の様子を想像するだけで心が躍る気持ちです。
昭和の恐慌や戦争により、これら一帯の施設は姿を消してしまいますが、自然環境と調和した住宅地として今に至っています。まちの性格は変わりましたが、大池は昔も今も、甲陽園の人々の心を潤し、草木や鳥、虫たちの憩いの場となっています。
8月に大池公園で開催された甲陽園夏まつりは盛況で、かつての甲陽公園が復活したかのようでした。大池には立派なスイレンが元気に生育し、その存在感ある姿が、心を落ち着かせてくれます。普段の大池は静寂そのものですが、じっとスイレンの葉を見ていると、大正時代の楽しげな様子が浮かび上がってくるようです。
≪写真≫ 大池と甲陽園の街並み
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