【消防局】ウー・カン消防通信!~「国際消防救助隊」のお話~
更新日:2024年9月5日
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第25回
みなさん、「国際消防救助隊」をご存じですか?
「国際消防救助隊(IRT-JF)」は、昭和60年11月に発生した南米コロンビアの火山噴火災害を契機に、自治省消防庁(現在の総務省消防庁)において発足の準備が進められたもので、海外で発生した大規模災害に対し、被災国政府からの派遣要請に基づき発隊、迅速に救助隊を派遣するものとして、昭和61年4月1日に体制が整備されました。
(IRT-JF、International Rescue Team of Japanese Fire-Service )
昭和61年1月、自治省消防庁から人口30万人規模の全国主要都市にある68消防本部に国際消防救助隊編成の協力依頼がなされ、全国消防長会 会長からの推薦を受けた西宮市消防局はこの趣旨に賛同し隊員を登録しています。
そして、令和6年4月1日現在、6名の精鋭隊員(全国では77消防本部に所属する救助隊員599人が登録)が国際的な大規模災害に対処するため、日々訓練に励んでいます。
現在、兵庫県では、西宮市を含めて4つの消防本部のみが国際消防救助隊に隊員を登録しています。
「国際消防救助隊」の愛称
国際消防救助隊は、被災国に愛の手をさしのべるという意味と英語の発音「アイアールティ」をかけて、愛ある手という愛称で呼ばれています。
国際消防救助隊員は業務中、常に標章を救助服に取り付けることで国際貢献への決意を固くするとともに、他の救助隊員の目標としてあり続けています。
国際消防救助隊員標章
「国際緊急援助隊救助チーム(JDR)」の発足
昭和62年に「国際緊急援助隊の派遣に関する法律」が施行され、国際消防救助隊は国際緊急援助隊(Japan Disaster Relief Team:略称 JDR)の一員として救助チームに編成されました。
国際緊急援助隊には、 外務省、警察庁、消防庁、海上保安庁、 国際協力機構(JICA)職員、JICAに登録する医療関係者、構造評価専門家など、複数の分野から派遣メンバーが集まります。
国際緊急援助隊標章
救助技術の向上を目指して
昭和61年4月1日、32消防本部、380名の救助隊員により国際消防救助隊が発足し、西宮市消防局では発足当時、20名の特別救助隊員を登録しました。
国際消防救助隊発足に伴い、昭和61年4月11日、初の合同訓練が東京都で開催されたため、西宮市消防局から救助工作車1台を含む2台10名の登録隊員を派遣しました。
国際消防救助隊登録以降、隊員の養成と連携強化のため、様々な訓練を実施しており、仁川渓谷での救出救助訓練のほか、夜間訓練を実施するなど訓練内容は多岐に及びました。
災害が多様化していることから、様々な災害現場を想定して、登録隊員を中心に西宮市消防局内の知識及び技術の伝承に努めました。
兵庫県下の国際消防救助隊登録隊員が救助技術はもとより、消防本部の枠を超えた「顔の見える関係」の構築を目指して、兵庫県下 国際消防救助隊合同訓練を平成8年度から実施しています。
訓練以外にも、 「国際消防救助隊セミナー」が実施されており、被災国への災害派遣時に、国際消防救助隊員が国際的なルールに準拠した活動を実施するための知識、技術を共有する場を持っています。
さらなる国際貢献を目指して
都市型捜索、救助活動の国際標準化及び調整を目的として設立された国際捜索・救助諮問グループ(INSARAG)があります。
その機関が各国救助チームの能力を認証、再認証する外部評価制度が平成17年から実施されており、日本の国際消防救助隊は、平成22年、平成27年、令和4年といずれも「重・中・軽」の3ランクのうち、重(HEAVY) の評価を受けました。
重(HEAVY) の認定を受けたチームは、被災国において、高度な救助技術を要する災害現場で活動することが求められることから、日本の国際消防救助隊が世界の災害現場でより一層活躍することが期待されています。
高度な救助技術と万全な派遣体制に基づく国際協力支援を世界に約束しているため、西宮市消防局では、今後も国際消防救助隊の登録隊員を中心に救助技術のさらなる研鑽に努めていきます。