災害時における要配慮者
更新日:2024年4月1日
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はじめに
東日本大震災で死亡した障害者(障害者手帳所持者)の死亡率が全住民の死亡率と比べて2倍近くあったと言われており、また60歳以上の高齢の方の犠牲がとても多いことが明らかになっています。
阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊などにより多くの方が生き埋めや閉じ込められましたが、その際、「自助」や「共助」で救助された割合は97.5%であったことが調査報告で分かっています。このことからも災害時に、要配慮者の被害をできる限り少なくしていくためには、地域における要配慮者支援の取組みが非常に大切です。
要配慮者とは
「要配慮者」とは、高齢者、障害のある方、妊産婦、乳幼児・児童、日本語に不慣れな外国人など、災害発生時に必要な情報を把握したり一人で避難することが難しい人、避難生活などが困難な人のことです。
要配慮者に必要な支援
- 発災時の安否を確認すること
- 発災時に正確な情報を伝えること
- 避難先を知らせること
- 避難時の介助をすること
- 生活・医療情報を伝達すること
- 避難生活を手助けすること
要配慮者の備え・支援のポイント
要配慮者の特性はさまざまです。避難誘導のポイント、避難所生活での支援ポイントなどについて以下のとおりまとめました。その方に合った備え・支援を心がけましょう。
共通
安否を確かめる | 災害が発生したとき、まずは安否の確認をしてください。そうすることで要配慮者ご本人の不安を取り除くこともできます。 |
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避難をお手伝いする | 災害の状況に応じて、避難が必要な場合は避難支援をお願いします。大雨や洪水などですでに浸水している場合など、避難することがかえって危険な場合は、2階への避難も有効と考えます。要配慮者の住まいの安全が確認できた場合は、無理に避難する必要はありません。 |
避難生活を支援する | 要配慮者にとって、避難所での生活はつらく、健康を害することもあります。毎日の声かけや食事の配慮など地域でできる支援を考えましょう。 |
寝たきり等高齢者
健康であっても加齢により身体機能が低下している場合があるため、必要に応じて情報を伝えたり、避難所まで付き添いましょう。
家庭での備え(自助)
- 高齢者の寝室は、倒れたり落ちてくるものがないような安全な居住空間を確保し、できるだけ避難しやすい場所にしましょう。
- 寝たきりの高齢者がいる家庭では、非常持出品に紙おむつなどの介護用品を加えておきましょう。
- 避難時の移動に備えて、幅の広いひも(おんぶひも)や車いすなどを用意しておきましょう。
日頃の備え |
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避難誘導の |
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避難生活の |
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認知症状のある人
記憶や判断力が低下し、状況の認識がうまくできず、周りの人が予測しない思いがけない感情の反応を示すことがあります。認知症ということを理解し、さりげなく自然でやさしいサポートを心がけましょう。
日頃の備え |
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避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 | 高齢者の項目に加えて次のことを心がけましょう。
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肢体不自由の人
病気やけがによって上肢や下肢などの機能に障害があるため、立ったり座ったりすることや歩行が困難な人がいます。自力歩行や素早い避難が困難な場合が想定されるため、車いすや義足等の補助器具が必要です。
家庭での備え(自助)
- 杖や歩行器などを使用している人は、いつも身近に置いておきましょう。
- 車いすや歩行補助具が転倒した家具などの下敷きにならないよう、安全なスペースを確保するとともに、暗闇になっても分かるようにしておきましょう。
- 非常持出品の中に、紙おむつや携帯トイレ、ビニールシート(おむつ交換時や着替えに必要)を用意しておきましょう。
- 自力で避難することが困難な場合に備えて、幅の広いひも(おんぶひも)などを用意しておきましょう。
- 車いすを使用している人は、雨天や寒冷時に備え、車いすでも使用可能なカッパ等を用意しておきましょう。
- 車いすはガラスの破片等でパンクのおそれもあります。パンク修理セットを準備しておくなどの備えをしておきましょう。また、車いす以外で移動ができる人は、車いすが使用できない時のために杖などを準備しておきましょう。
- 電動車いすを使用している人は、使用後必ず充電し、いつでも使える状態にしておきましょう。
日頃の備え |
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避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 |
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目の不自由な人
災害時に備えて近所づきあいをしようと思っても、目が不自由なため自分から声をかけることが難しい場合があります。日頃から声かけをし、どのようなお手伝いができるか尋ねましょう。また、災害時には被災状況の把握が難しく、とても不安になります。
家庭での備え(自助)
- 非常持出袋のある場所はどこか確認しておきましょう。
- 手探りをする際に割れたガラスなどでケガをしないように、手袋を枕もとに用意しておきましょう。
- 非常持出品の中に、白杖(折りたたみ式)・点字器を加えておきましょう。
- すぐに災害情報を得るために、ラジオを身近なところに置きましょう。また、予備の電池を用意しておきましょう。
- 情報を入手したり自分から状況を連絡できるように、携帯電話などを活用しましょう。
日頃の備え |
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避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 |
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聴覚・音声言語障害のある人
手話や身振り、携帯電話や手書きのメモで情報を伝えましょう。周りで話していることが分からずコミュニケーションがとりにくいことがあります。口の動きで言葉が理解できる人もいますので、正面から顔をあわせ、できるだけ口を大きく開けてゆっくり話しかけましょう。
家庭での備え(自助)
- 非常持出品の中に、補聴器用の電池、筆談のためのメモ用紙、筆記用具、停電の際に手話で会話ができる携帯用照明、笛や警報ブザーなどを加えておきましょう。
- 就寝時に災害が発生した時のために、枕もとに補聴器を置きましょう。
- 情報を入手したり自分から状況を連絡できるように、文字情報が受信・発信できる携帯電話やファックスなどを活用しましょう。
- 災害時に利用できる「緊急会話カード」を作成しておくことも、まわりの人に支援を求める場合に大変役立ちます。
日頃の備え |
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避難誘導の |
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避難生活の |
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知的障害のある人
複雑な事柄の理解や判断、難しい会話の理解が苦手な場合があります。話しかけるときにはやさしく声をかけましょう。一見しては障害が分かりにくく、少し話をしただけでは障害があることを感じさせない人もいます。
家庭での備え(自助)
- 日頃服用している薬があれば、非常持出品の中に加え、かかりつけ医療機関名や薬のメモもその中に入れておきましょう。
- 災害発生時に家族などから連絡がとれるように携帯電話などを活用しましょう。
日頃の備え |
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避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 |
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精神障害のある人
精神障害には、統合失調症や躁うつ病、アルコールや薬物の依存症、人格障害など、さまざまな病気が含まれています。話をするときには、ゆっくりと、丁寧に、具体的かつ簡潔に、少し言い方を相手に合わせて話をしましょう。
家庭での備え(自助)
- 非常持出品の中に、日頃服用している薬を加え、かかりつけ医療機関や薬のメモもその中に入れておきましょう。
- 家族にも、医療機関からの指示や緊急時の対処法等をよく理解しておいてもらいましょう。
日頃の備 |
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避難誘導のポイン |
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避難生活 |
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内部障害のある人・難病患者・医療機器を使用中の人など
心臓、じん臓、呼吸器など内部障害のある人や難病患者の人は、外見からは障害があることが分かりにくいため、必要な支援が本人に行き届かない場合があります。事前に必要な支援を確認しておきましょう。
家庭での備え(自助)
- 非常持出品の中に、日頃服用している薬や日頃使用している装具を加え、かかりつけ医療機関や日頃服用している薬のメモもその中に入れておきましょう。
- ぼうこう、または直腸機能に障害のある人は、ストマ用装具などの関係用品を準備しておきましょう。
- ストマ用装具はメーカー名、品名はもちろん、サイズも正確にメモをして非常持出品の中に入れておきましょう。
- 普段服用している薬の名前は必ずメモしておき、携帯するように心がけましょう。例えば、「血圧を下げる薬をもらっていました」では、非常時には役に立ちません。災害救助の医師や看護師に正確な薬名を伝えられるようにしておくことが何より大切です。
- 喉頭摘出をしている人は、気管孔エプロンを準備しておきましょう。また、人工喉頭や携帯用会話補助装置が必要な人は、いつも身近に置いておきましょう。
- 呼吸器機能障害の人は、日頃から予備の酸素ボンベを準備し、その残量に気をつけましょう。
日頃の備え |
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避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 |
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乳幼児のいる家庭の必要な備え
家庭での備え(自助)
- 非常持出品の中に紙おむつ、ウェットティッシュ(風呂に入れられないときに身体をふいてあげられます)、粉ミルク・液体ミルク、ミネラルウォーターなどを加えておきましょう。
日本語の不自由な外国人
日本語で情報を受けたり伝達したりすることが十分にできないため、多言語による情報提供が必要です。また、地震等の災害が発生した場合の対処方法や避難所の存在や機能などの知識が備わっていない場合があります。
避難誘導のポイント |
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避難生活の支援 |
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学校・事業所等での防災情報の提供では以下の防災ガイドをご活用ください。
外国人のための防災ガイド
要配慮者の支援を行う方へ(地域避難支援制度について)
避難支援団体として地域で行う要配慮者支援の取り組み。支援に必要な情報(「地域避難支援制度」登録者名簿)を入手し、地域の実情に応じた支援に役立てましょう。
マイ避難プラン
災害発生時は、まずは自分の身は自分で守ることが一番重要です。高齢者や障害者などの要配慮者がおられるご家庭では、災害時に誰がどこにどうやって避難させるのかを家族で話し合い「マイ避難プラン」を立てておきましょう。また家族による支援だけでは不安がある場合は、隣近所の方に支援をお願いしておきましょう。
「西宮市防災マップ」を確認し、お住まいの地域ではどんな災害が起こりやすいのかを確認し、災害種別に応じた対策を検討しましょう。
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リンク
災害時における西宮市要配慮者支援指針
東日本大震災での教訓を踏まえた平成25年6月の災害対策基本法の改正を受け、平成26年7月、西宮市災害時要援護者支援連絡協議会を開催し指針を改定しました。
本指針に基づき、要配慮者が地域内で安心・安全に暮らすことができるよう、自助及び地域(近隣)の共助を基本とした支援体制の確立をめざします。
今後、自治会や自主防災会といった自主防災組織等の協力を得ながら、地域における要配慮者支援の体制づくりを推進します。
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