多文化共生社会を考える
「共に生きる」社会へ 大手前大学非常勤講師 岩山仁
市民のみなさんに質問です。現在、西宮市に暮らす外国籍住民の人数はどのくらいでしょうか?また、どこの国籍の人が多いでしょうか?答えは6204人(平成25年末時点)で、国籍は多い順に韓国・朝鮮3760人、中国1121人、アメリカ241人、ブラジル149人です。ちなみに、日本全体では206万6445人で、中国64万8980人、韓国・朝鮮51万9737人、フィリピン20万9137人、ブラジル18万1268人となっています。
さて、この数字を見て、どんなことを感じられるでしょうか?そして、どんなことが見えてくるでしょうか?
外国籍の人々が日本に暮らす理由には主に2つの背景があります。ひとつは歴史的背景です。西宮市居住の韓国・朝鮮籍の方々の多くは、1910年から1945年まで続いた植民地支配によって日本に住むことになった人たちとその子孫です。もうひとつは経済的背景です。国境を越えた経済活動があたりまえとなっている今日、多くの人々が国境を越えて移動・移住するのも当然です。
日本もかつては貧困にあえぎ、移民の送り出し国でした。今やその日本は経済大国となりましたが、同時に、少子高齢化が進み労働力人口は減る傾向にあり、国は、労働力としての外国人の受け入れ拡大も議論しています。
これからの社会にとって何が大切か、長期的視点、地球規模的視点で考えていくことが必要です。外国人をとりまく問題で何より大事なことは、単に「労働力」として外国人を受け入れなければならないと考えてしまうのではなく、さまざまなちがいのあるもの同士がお互いに支え合ってこの社会が成り立っている、ということに改めて気づくことではないでしょうか?そこから、すべての人とお互いに尊重し合い、協力し合い、「共に生きる」社会をつくっていけたらと思います。
8月19日(火)に開催される「人権を考える市民のつどい」もそのために必要なことを考える良いきっかけになると思いますので、ぜひご参加ください。