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おおた先生のわくわくだより

更新日:2024年10月8日

ページ番号:66847807

おおた先生のプロフィール

太田 秀紀(おおた ひでき)
   日本小児科学会認定小児科専門医
   日本小児心身医学会認定子どもの心の専門医
【専門分野】発達障害、心身症、重症心身障害児医療
【趣味】音楽鑑賞(主に洋楽ロックなど)

第47回 「学校に”出張”しております」

以前から時々診察室を出て、学校や幼稚園・保育所などに出向いて子どもたちの様子を見せてもらう機会は
あったのですが、今年度からこども未来センターでは「出張セミナー」という事業を展開することになり、
学校に赴く機会がぐっと増えました。
「出張セミナー」とは市内の公立小学校に専門医が出張し、授業見学や教員とのディスカッション、
研修会などを通じて学校の支援力向上に寄与する目的で実施しており、
今年の夏休みには小学校7校で教員向け研修の講師も務めました。
この事業を通じて集団生活の現場をみておくこと、教員の考え方や悩みを知ること、
私たち医療者の考え方を教員に知ってもらうこと、これらの大切さを改めて痛感しました。
 
とある小学校でのことです。
ほとんど授業に参加できていない子に出会いました。
時々は参加するのですが長続きせず、授業と関係のない手遊びを始めたり時々教室をふらっと出て行ってしまいます。
担任の先生は粘り強く声をかけ、強く叱ったりはせず対応されていました。
まわりの子どもたちも過剰に反応せず、この子のことを受け入れているように見えました。
放課後に担任先生と私とで話し合いました。
私はこの子が授業に参加しないのは単にわがまま・授業放棄などではなく、不安や自信の無さに基づいているように
思えた(できると感じた課題は取り組んでいた様子から)ので、そういった見立てを伝えました。
先生もそのように感じていたようで、
強く叱ったり強制することは却って不安を煽るだけで逆効果と判断されていたようです。
ですが果たしてそういった(見方によっては甘やかしともとれる)対応で良いものか悩んでもおられました。
私は先生の見立てや対応を支持し、この児童には安心と自信を育む対応を重視すること、
そのために更にできそうな手立てについてお伝えしました。
私と見立てが一致したことで、先生自身も安心と自信を取り戻されたようにみえました。
 
子どもたちは学校の先生の言動を模範にしています。
この先生は教室で落ち着けない児童に対して、その理由・背景を理解しようとし、適切な対応を模索されていました。
子どもたちは先生の姿から学び、お互い受容的に接する雰囲気が自然と醸成されているように私には見えました。
私にとっても大変勉強になった一例でした。
 
これからもできるだけ積極的に教育現場に赴きたいと思います。
教育と医療が連携し、お互いに学び合うことが、子どもたちの明るい未来に繋がると信じています。

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