多文化共生を考える
『人権文化の花咲くまち西宮』を目指して 多様な視点から学ぼう!

共に生きるビジョンが実る畑

絵

「外国人」という言葉で、今あなたの頭に浮かんだ光景はどんなものですか。
街で見かけた人、同僚、配偶者、テレビ番組の出演者、ニュースの事件で話題の人等、同じ言葉でも、人が思い浮かべる光景は変わる。
「外国人」「多文化共生」という言葉で、私が真っ先に思い浮かべた光景は、晴れた空の下にどこまでも広がるキャベツ畑とそこで作業する地元住民に何か尋ねている外国人女性の姿、そして人々の穏やかな信頼感のある笑顔だ。
私が参加した交流イベントのスピーチで、ニュージーランド出身の女性が自身の経験を語っていた。石川県に10年住んで英語の教師をしていることから始まって、来日した理由や地域の自然や食材が気に入っていること、子育てのための医療補助が充実していること等々、そして、町の良いところをウェブサイトで海外の人たちにシェアしたいと。
「紹介したいこの町のものはなんですか?」という参加者からの質問に、彼女は、「今はキャベツです、私の近所はキャベツ畑ばかりなので」と答えた。
私はとっさに、地元のお薦めがキャベツ畑しかないという彼女の発言は地域住民の気を悪くするのではと思ったが、会場はドワっと笑い声でいっぱいになった。彼女のスピーチの最後には大きな拍手が送られた。
“キャベツしかない”も地域で暮らす外国人とさまざまに接点や交流を持つ人々には内輪のジョーク。共に笑いとばせるのだと思った。
多文化共生は、書いて、発するだけでは、ただの言葉。でも、同じ空間で暮らし、地域の活動をしたり、職場を共にしたり、お祭りやイベントでの交流の場が重ねられることでその地域に根ざした共生の畑に実りがやってくる。晴れた空の下で輝くキャベツ畑のように。

顔写真:星野ルネさん

漫画家・タレント
星野 ルネさん

1984年カメルーン生まれ。4歳の時に母の結婚に伴い来日し、姫路市で育つ。ツイッター上で発表していた自分の日常のエッセイ漫画が話題となり2018年8月に『まんがアフリカ少年が日本で育った結果』(毎日新聞出版)として出版。毎日小学生新聞にて「アフリカ少年!毎日が冒険」を連載

【問合せ】秘書課(0798・35・3459)

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