コミュニティ交通導入の事例から
これからの地域を考える

見出し:コミュニティ交通導入の事例からこれからの地域を考える

住民主体で地域課題に向き合い、行動を起こした人たちの経験は、これからの地域の在り方についてヒントを与えてくれます。
今回は、コミュニティ交通の導入を実現・検討している2団体からお話を伺いました。

「ぐるっと生瀬」運行協議会

写真:高橋 薫さん 石原 隆典さん
高橋 薫さん 石原 隆典さん

生瀬地区の9自治会と有志の住民、関係機関で組織され「ぐるっと生瀬」の運営を担う。住民目線からの運行計画、地域活性化に貢献できる運営を目指している

ぐるっと生瀬
イラスト:ぐるっとちゃん

ぐるっとちゃん

平成27年(2015年)から運行している生瀬地区コミュニティ交通。
阪急宝塚駅を起終点とした6ルートを、1日に22便運行中


地域住民からの切実な願いが発端
生瀬地区は急な坂道や狭い道が多く、高齢者を中心に気軽に外出ができない人が多くいました。この状況を課題に感じていた地域住民が、なんとか移動手段を確保するため、試行錯誤を繰り返しました。さまざまなニーズがあり、運行開始までに経費や人手不足の課題に直面しましたが、各自治会・市に相談を重ね、やっと現在の形となりました。
まずは多様な意見を聞く事から
バスの1日の平均乗車数は100人を超え、年々増加しています。気軽に友人に会えるようになった等の声もあり、バスを通じて人の交流が増えたと感じています。さらに、移動手段が増えた事で若い世代の転入も増え、地域の足としての役割だけでなく、地域の活性化にも大きな役割を果たしています。
地域の中には色々な価値観の人がいて、その時々で状況は変化しています。全員が納得する結論を得るまでは大変ですが、地域のニーズを正確に把握するため、多くの意見を聞くことが大切だと感じました。
写真:ぐるっと生瀬
これからも、安心して暮らし続けるために
現在は高い収支率を維持していますが、さまざまなニーズに応えようとすると、その分コストがかかってきます。優先度のバランスは非常に難しいですが、一番大切なのは運行を安定して継続させる事。私たち地域住民にとって便利なバスが存続できるよう、今後もバスの在り方を考え続けていきます。これからも、使命感を持って「ぐるっと生瀬」に関わっていきたいと思います。

名塩コミュニティバス準備委員会

写真:石田 清造さん 田村 俊二さん
石田 清造さん 田村 俊二さん

名塩地区の6自治会と、神戸市生野高原の住民の代表で構成され、名塩地区でのコミュニティ交通の本格運行に向けて、住民要望や課題の集約、改善策を取りまとめている

名塩・生野高原ふれあいバス
ロゴ:名塩・生野高原ふれあいバス

昨年12月から2回目の試験運行中の名塩地区コミュニティ交通。
JR西宮名塩駅を起終点とした4ルートを、1日に18便運行中

試験運行は5月末までの予定。その後、引き続き本格運行に向けて検討を行います

地域全体で解決すべき課題
名塩地区は山間地域にあり、8地区が「公共交通不便地域」となっています。高齢化が進み、日常生活に不便・支障を来している人が多くなってきました。そして、一部の自治会からコミュニティバスの導入を検討したいと声が上がりました。「他の地区においても、いつか同じような問題に直面するだろう」、「生活の不便を理由に住民の転居があってはならない」との思いから、名塩全体で取り組むべき重要課題として検討していこうと判断し、近隣の生野高原(神戸市)も含め準備委員会の結成に至りました。
自分たちが暮らしている地域だからこそ
現在は本格運行に向けて、2回目の有料試験運行を行っています。試験運行の中で、地域の特性や住民の行動傾向が分かり、新たな課題も見つかりました。これは、実際にこの地区で生活している私たちだからこそ気付けた事だと感じています。今後も、本格運行した時の導入効果を上げるため、地域の声を多く聞き、ニーズの把握に努めていきます。
写真:名塩・生野高原ふれあいバス
地域のために、みんなで力を合わせる
名塩には昔からある地区と、都市開発で新しく作られた地区がありますが、地域がこの先も在り続けるために、足並みをそろえ、隔たりなく一緒に地域を作っていく事が大切だと思っています。
この事業は住民の熱意で地域の団結力を生み、市や関係団体まで声を届けることができました。今後も、バスの導入の意義を意識しながら事業計画を考えていきたいと思っています。

PICK UP
コミュニティ交通の取組への支援制度

市は、生活移動手段の確保を目的としたコミュニティ交通の運行に必要な費用の助成や、地域住民の主体的な取組へのサポートなどの支援制度を設けています。詳しくは市のホームページをご覧ください。

市ホームページ コミュニティ交通の取組みに対する支援制度

【問合せ】交通政策課(0798・35・3527)

写真:都市計画部 上野部長

都市計画部 上野部長

身近に迫る交通課題を何とかしたいという2団体の切実な思いを感じながら、コミュニティ交通の導入支援を行ってきました。地域の皆さんと市が協働してバスを導入することにより、人の交流が増えるなど、まちの活性化にもつながっていることをうれしく思います。

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