更新日:2025年1月22日
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―現在の担当業務は?
老朽化した市の中央体育館・陸上競技場・公園施設等を一体的にリニューアルする西宮中央運動公園再整備事業です。通常の公共建築の発注方式とは異なるPFI方式で事業を進めており、事務局の一員として携わっています。
―通常の公共建築の発注方式とはどのような流れで業務を行うのですか?
施設の新築・改築・改修等の事業を行う際、事業を企画し予算化するのは営繕課ではない部署(事業課)が行っています。事業課が「いつ・何を・どこに・どのぐらいの規模で・どのような・いくらぐらいの予算で」といった前提条件の方針をある程度企画します。その企画を具体化するにあたって、建築職がいる営繕課等の工事担当課に相談・発注依頼がきます。その依頼をもとに営繕課は設計・積算・発注を行う流れになっています。
―営繕課での建築職が果たす役割は何ですか?
事業を企画するにあたって、事業課は利用者である市民の皆さんや運営者に意見を聴きます。その意見の中にはポジティブな内容もあれば、ネガティブな内容もあります。市の職員は市民の皆さんが困っているネガティブな内容をまずは解決したい心理が働くので、そこに関する内容は本当に良く整理されて営繕課に届きます。一方で、西宮の将来も見据えて、どのような施設にしたいか等のポジティブで具体的な議論や意見交換が、事業課との間で不足し、発注仕様書等に十分に反映できていないように感じることがしばしばあります。ポジティブな内容をもっと具体的に受注者に伝えることが必要だと考えています。発注側のポジティブな熱意が感じられず、ネガティブな気持ちでは、情熱も注ぎたくなくなるし、良いアイディアも浮かばないですよね。
また、設計業務や工事を発注するにあたっては、設計、積算、工事に関する様々な法令や基準、市のルールにも従う必要があります。よく理解、整理せずに発注してしまうと、受注者に要らぬ業務を強いることになってしまい、思う存分能力が発揮できなくなってしまいます。それらをシンプルに整理し、伝えることも私たちの役割です。
営繕課では、こうした事業課の企画内容や技術的なさまざまな決まりごとを前提条件として整理し、設計事務所や建設会社に発注する発注者の役割を担うことになります。発注後も、完成するまで市の意図通りに出来ているかを監理者として監督します。
―それでは、現在の担当業務であるPFI方式で行う業務の特徴は何ですか?
今回のPFI事業では、建築職の職員も事務局の一員として企画の早い段階から参画できています。事業課から企画内容を一方的に伝達されるのではなく、一緒に議論しながら様々な前提条件を決めてきました。都市計画やまちづくりなどの専門的な視点で俯瞰しながら企画するという部分に、より参画できています。市民の皆さんや事業者にポジティブな内容がより具体的に伝わるよう、積極的な発信についても取り組んでいます。(まだまだですが。)
通常の発注方式でも、事業課と工事担当課が早期からワンチームで企画を練った方が結果的に上手くいくと思います。庁内でもそのような組織的な取組みの兆しが表れています。
―そのような経験を通して、営繕課の業務で感じていることややりがいは何ですか?
メディアで取り上げられるようなキラキラした世界を夢見て建築学科に入ったものの、要領が悪くて、手がなかなか動かなかったんです。学生時代には、設計で一生食べていくのは難しいなと挫折してしまいました。
市役所に入って仕事をしてみると、発注者としての仕事が実はすごく大事なんじゃないかと感じています。この思いは、震災復興業務の応援職員として宮城県女川町へ出向した経験や、今携わっているPFIの業務を通じてますます強くなっています。公共建築の場合、建物が建つ前提条件は市役所等の公共側が設けます。この前提条件は建物の未来、さらにはまちの未来に直結します。適切でなければ、優秀な設計者や施工者が関わってもいいものができあがっていかないのが実感としてあります。
建築を仕事にするのは難しいのかなと悩んだ時期もありましたが、設計やデザインだけにこだわらなくても、建築にはいろんな分野で携わることができます。その中でも発注者の仕事はとてもおもしろいと感じる部分が多いです。進路に悩んでいる人には、ぜひ検討して欲しいと思っています。
―自治体職員として働くことや西宮市職員になることを検討している人へひとこと。
自治体や組織が小さくなると、一つの部署で一人が担当できる仕事の領域は広いですので、発注者として企画から日々の修繕まで一手に担うことが出来る可能性が高いです。逆に組織が大きくなると、どうしても業務が細分化されて希望の業務に携わる機会は減るかもしれません。しかし、関わる事業の規模が大きかったり、数が多かったりします。その中で、西宮市は中核市で人口は約48万人、建築職も約100人いるという規模で、ちょうどいい規模感だと思っています。ぜひ西宮市も就職先の候補に入れてもらえると嬉しいです。
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