「子ども食堂シンポジウム」が開催されました
更新日:2020年1月28日
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みなさんは「子ども食堂」をご存知ですか?
以前は、困っている子供たちのために無料や安価で栄養のある食事を提供する取り組みと考えられていましたが、最近では、子供の居場所や地域の交流拠点などさまざまな形で開設されています。
全国的にも広がりをみせており、西宮市内でも開設されています。
西宮市では、子ども食堂のことを知ってもらい、その取り組みが広がることを目的に、令和元年11月に子ども食堂シンポジウムを開催しました。
また、令和元年10月からは、子ども食堂の開設に向けての電話相談窓口も設置しています。
西宮市子ども食堂シンポジウム「子ども食堂から広がる地域のつながり」に参加しました!
こんにちは。さくらFMパーソナリティの松本真規子です。
みなさんは「子ども食堂を知っていますか?」と聞かれたらどう答えますか?
とある調査によれば、「知っている」と答える人は80%にのぼるそうです。ところが、「行ったことありますか?」の問いに「ある」と答えるのはたったの7~8%。知ってるけれど行ったことがない、それが子ども食堂なのだそうです。そんな私も、まさにその多数派。
今、注目されている「子ども食堂」の取り組みをまず知ることから!と、令和元年11月11日、西宮市立勤労会館で開催された西宮市子ども食堂シンポジウムに参加して来ました!
JR西宮駅から徒歩約7分、松原町にある勤労会館
西宮市は、市内に子ども食堂を増やしたいと考えていて、開設者の情報交換や開設を検討している方への情報提供などを目的に、今回のシンポジウムが開催されました。
続々と入場される参加者のみなさん
私も受付をして資料をいただきます
ロビーには一般財団法人こどもサポート財団の展示
幅広い世代の方が参加されているのが印象的でした
石井登志郎市長の開会あいさつからスタート
石井市長の子ども食堂との出会いは、2年半前、門戸厄神界隈で開催された子ども食堂だったそうです。ひとりっ子も多くなり、学校の先生と親以外の大人とふれあう機会も少ない今の子どもたちにとって、縦・横・斜めと、色々な関係を作っていける場になるのではと実感し、西宮でも増やしていきたいと思うようになったというお話でした。シチズンシップ=市民の前向きに社会をよくしていこうという気持ち、を発揮できる場になればというお話もあり、地域のために何か貢献したいがどうすればよいかわからない、と思われている方のきっかけの場にもなることに気づかされました。
第1部 基調講演「子ども食堂から広がる地域のつながり」
登壇されたのは、社会活動家、東京大学先端科学技術研究センター特任教授の湯浅誠さんです。
湯浅さんは、全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長でもいらっしゃいます
大勢で食卓を囲む光景が家庭から減り、人が集うまちの商店も地域から減っている今「子ども食堂」がこの1年で1400か所も増えたこと、95%は補助金が出ていないし、やったからといってお金が集まるわけでもないのに増えている、不思議ですよね?という問いかけから始まりました。
フレンドリーにわかりやすく話してくださる湯浅さん
その理由は、地域のつながりが大切だと多くの人が感じ始めたから。大きなきっかけとなったのが災害だったそうです。災害時は人と人のつながりの有無が死活問題になります。重いものを運ぶにも一人では出来ない。ライフラインが遮断された時に助け合うにも普段からの関係性が重要だと。そういえば、昔はお醤油がなくなったら近所の人にもらったり、交代で子どもを預かったり、普段から自然と地域の助け合いが出来ていたように思います。
そんなつながりを取り戻す拠点となりうるのが「子ども食堂」ではないかと、注目されているのだそうです。地域活性化、孤食対応、子育て支援、虐待予防、高齢者の健康づくり、貧困の連鎖を断ち切る。色々な切り口で現代の課題に対応できる地域の多世代が集う場所。なるべく多くの人が身近にアクセスできる場所にあった方がいいということで、日本全国で2万か所の子ども食堂の開設を目指されているとのことです。これは、各小学校区に1つの計算になります。
会場のみなさんも熱心に聴き入っています
「人の幸せってなんだろう?死の間際に何を思うのだろう?何に満足して死んでいくのだろう。1億円貯めたことに満足する?貯めてないけど(笑)。違いますよね。」この言葉が深く心に残りました。「自分たちがどんな地域に暮らしたいだろう?」と考えて、子ども食堂のことを考えてみてくださいと講演を締めくくられました。
第2部 パネルディスカッション
休憩を挟んで、第2部では、西宮市内で子ども食堂を開催されている3人がパネリストとして登壇されました。
石井市長もパネリストとして参加されました
コメンテーターは湯浅さん、コーディネーターはこどもサポート財団の小谷くにこさん
「ともだち食堂」代表の一山ゆかさん
ともだち食堂は、上大市5丁目にある上大市第二自治会集会所で、月に1度、主に土日に開催されており、多世代交流と山口町船坂産の有機野菜を使うことが特徴です。子どもから高齢者の方まで「みんないっしょにいただきます」をキャッチフレーズに、平成30年10月からスタートされました。
「なるっこ食堂」主宰の永谷理香さん
なるっこ食堂は、上田中町にある上田公会堂で月に1度開催されています。食にこだわっており、コンセプトは、一汁三菜・うま味調味料を使わない・無農薬野菜を使う、だそうです。家ではなかなか出ないメニューを提供し、普段野菜を食べない子もここでは食べるという声もあるそうです。
「にしのみやこども食堂」主宰の松岡歩美さん
にしのみやこども食堂は、門戸厄神駅から徒歩3分のカフェを間借りして、毎週月曜日、小学生から高校生の子どもを対象に開催されています。大学生が主体となって運営するNPO法人であるブレーンヒューマニティが運営しており、スタッフは全員大学生であることが大きな特徴です。
パネルディスカッションでは、子ども食堂を開催されているみなさんから、困っていることや、やりがいも聞くことが出来ました。
課題として、運営スタッフの確保や開催場所への重い荷物の搬入といった人手や金銭面のやりくり、地域でつながりを求めている人や困っていることがある人への情報の届け方などが挙げられました。
一方、子どもたちや参加者の嬉しい反応や変化を目にするたびにやりがいを感じるというお話や、同じ想いの方と出会った時の喜びも語られました。
これらの課題に対して、行政はどう支援していくのがよいかについて、コメンテーターの湯浅さんから、補助金という形だけではなく、個人ではハードルの高いこと、企業とつなぐ場を作るとか、地域や社会に貢献したいと思っている方へのボランティア説明会を開くなど、行政だからできることの提案がありました。
子ども食堂に興味を持つ人が多いと感じたシンポジウム
一般的にはまだまだ子ども食堂の認識は、子どもの貧困対策だけのものなのかもしれません。でも、今回のシンポジウムで、実情は「地域の交流拠点」として全国で広がっていることを学びました。より多くの方にそのことを知っていただき、「知っているけれど行ったことのない場所」から「身近で気軽に参加できる場所」へとなることが求められているのではないでしょうか。百聞は一見に如かず。私も、近々参加してみようと思います!
後日、市内の子ども食堂の初体験レポートも書きます!
昔は当たり前にあった地域のつながり。社会の変化と共に失われつつあると感じていましたが、それを取り戻したいと起こっているムーブメントが子ども食堂なのかもしれません。西宮市が考えている子ども食堂は、子どもの居場所、食事をきっかけとした地域の交流拠点。目的や対象者などは問いません。ゆるやかに地域がつながれる存在として、まちのあちこちで開催されたらどんなにすてきでしょうか。
今回のシンポジウムをきっかけに、西宮市内の子ども食堂も増えていくかもしれません。あなたの周りの子ども食堂、一度参加してみませんか?
記事作成者 松本 真規子