西宮神社・十日参りの「お福分け」は創作和菓子! 7月の「とおかし」授与の様子をレポート
更新日:2021年1月29日
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毎月10日に行われる「とおかし」
参列者に授与される月替わりの「とおかし」
西宮神社といえば、1月10日の「十日えびす(通称:えべっさん)」が有名ですが、そのほかの月にも「十日参り」が行われているのを知っていますか?
今回は私、市野亜由美(ライター/西宮在住)が「十日参り」に参列してきました。その様子をレポートします!
毎月3回の旬祭のうち10日の祭典は「中旬祭」と呼ばれます
毎月の「十日参り」の参列者には、季節やえびすさまにちなんだ和菓子が配られるのですが、それを「とおかし(十日のお菓子)」と呼んでいます。
2017年度からは、西宮の和菓子を広くPRする「西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会」が中心となって「とおかしプロジェクト」がスタート。
市内の和菓子店11店が、このために特別に考案したお菓子「とおかし」が月替わりで登場することに。
「2018年度のラインナップは......」と、お菓子の紹介リーフレットを眺めるだけでもわくわく。
2018年の「とおかし」のリーフレット(PDF:2,582KB)
実際にお菓子が配られるところを見てみたくて、7月10日に西宮神社にやって来たわけです。
さあ、拝殿へ!
「十日参り」を体験!
受付開始前に参拝者の列ができていました
祭典が始まるのは午前10時。9時30分を目処に開場となります。
この日はとても暑かったので、早めに入場が開始されたようです。
普段は入場できない拝殿の中へ
入り口で皆さんが受け取っているのが「とおかし券」と「おかめ茶屋お茶券」。
ちなみに「おかめ茶屋」は本殿向かいに広がる神池のほとりにあり、この券でお茶とお団子をいただけます。
拝殿前で、一人1枚ずつ配布される「とおかし券」と「おかめ茶屋お茶券」
開門時にはすでに150人ほどが並ばれていた様子。
「いつもこれくらいの人数がお見えになります。10日が土日と重なると、お子様連れの方などもおられ、もう少し増えるでしょうか」と、巫女の山本ゆいさん。
参列者が増えたことで、以前は120個限定だった「とおかし」が5月から180個限定になったのだとか。
巫女の山本ゆいさん
祭典の開始時刻になると、拝殿内に設けられた座席は参列者でいっぱいに。
門の外で立ったまま、お祈りする方もおられました。
厳かな雰囲気のなか、はじめに神職によるお祓いが行われます。
祓串(はらえぐし)でお祓い
装束を着けた神職が拝殿へ
続いて、神職らが神饌(しんせん)と呼ばれる神さまの食事を献上します。
米をはじめ、酒、餅、魚、野菜、果物、菓子、塩と水が拝殿の中央へと運ばれます。
神饌は作法にのっとって、神職が手渡しで運びます
国家の安泰や氏子崇敬者の繁栄などを祈願する祝詞の奏上などが行われ、約1時間の神事が終了。退出する参拝者に、いよいよ「とおかし」が配布されます。
お菓子の箱の大きさはその時々で変わるらしいのですが、「とおかし」ロゴマークが印刷された朱色の紙帯がかけられています。
整然と並んだ「とおかし」の箱
出口には「とおかし」のほか、お神酒やお米も用意されています。
神職が「よくお参りくださいました」と参列者一人ひとりに声をかけておられ、なごやかな雰囲気。
出口の様子
福を分けていただく「とおかし」
「とおかし」について、西宮神社の禰宜(ねぎ)である千鳥祐兼(ちどりすけかね)さんにお話しを聞きました。
禰宜の千鳥祐兼さん
「神さまや仏さま、ご先祖さまにお供えしたお下がりを分け合って頂戴するという習わしは各地で受け継がれています。『お福分け』とも言われ、尊いお徳やお力を体内に授かろうとの思いが大きいでしょうか。 この『とおかし』は平成23年4月から始められ、毎月たくさんのご参列があります」とのこと。
毎月10日に足を運ぶことで、一ヶ月を無事に過ごせた感謝をし、新たな一ヶ月の無事を祈る機会になるといいます。
私はお菓子にばかり目がいってしまいましたが(笑)。
お参り以外で「とおかし」を入手するには?
なお、その月の「とおかし」は10日に限り、境内の「おかめ茶屋」で購入することもできます。30個限定で予約も受けておられるそう。
涼しげなおかめ茶屋のテラス
おかめ茶屋では、「とおかし」以外のお菓子もいただけます
さらに、朗報が!「とおかしプロジェクト」に参加している和菓子店では、一年を通して毎月10日にそのお店オリジナルの「とおかし」を販売しています。
リーフレットを見て、「ああ、これが食べたかった」と思っていた人は要チェックです。
私も取材後に早速、7月の「とおかし」が販売されている「高山堂」本店に向かいましたよ。
「目出鯛(めでたい)みかさ」
同店の「とおかし」は「目出鯛みかさ」。
ふんわり生地で北海道十勝産の小豆を使ったつぶあんが、たっぷりとはさまれています。
「おめでたい」という言葉とえべっさんの鯛にちなんだ仕上げの焼き印がかわいいんです。
みかさの直径は約10cm
袋を開けると、甘―い、玉子生地の香りがします。
しっかりとした重みもうれしい、おやつにぴったりなみかさは、なんと求肥入り。
つぶあんとのハーモニーがたまりません。
カットすると、やわらかな求肥が顔をのぞかせます
ひと月のうちの一日だけしか手に入らない、特別感のある月替わりの和菓子。やはり心が躍りますね。スペシャルな西宮土産として買うなどしてもいいかも。
西宮神社や地元の銘菓について、より知りたくなる催しに触れ、私の心は次の10日に向かっています。
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- 市野亜由美
西宮市在住のライター。"どこへでも実際に行ってみたい派"です。読者に「私も!」と思ってもらえるような、再現性のある情報を届けられるとうれしいです。好きなジャンルは、食べものやアート
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ライター・市野亜由美
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とおかしプロジェクトについてはこちら 西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会HP(外部サイト)
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