【とおかし図鑑】Vol.04「甘辛の関寿庵」 蔵元ならではの大吟醸原酒を使った味わい
更新日:2021年1月29日
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「甘辛の関寿庵」(今津出在家町)のとおかし「御神酒(おみき)まんじゅう」
「とおかし」とは、西宮神社の十日参り(4月から翌年3月)の際に配られるお菓子のこと(※1月は除く)。
2017年度から始まった「とおかしプロジェクト」では、1年ごとに西宮市内の11の和菓子店が月替りでとおかしの制作を担当することになりました。それぞれのとおかしは毎月10日限定で各店舗にて販売されています(※詳しくはこちら)。
この連載「とおかし図鑑」では、市野亜由美(ライター/西宮在住)が、それぞれのお菓子と和菓子店の魅力に迫ります!
第4回は、西宮今津の酒蔵通にある「甘辛の関寿庵」へ。同店の当番月は2019年2月、配布される和菓子は「御神酒まんじゅう」です。
酒づくり一筋300余年の「大関」が運営
「甘辛の関寿庵」のエントランス。「酒饅頭」と染め抜かれた大きな幕が目を引きます
「甘辛の関寿庵」のエントランス。「酒饅頭」と染め抜かれた大きな幕が目を引きます 日本有数の酒どころとして知られる西宮で、300年以上にわたり酒づくりを続けている「大関」。同社が運営する「甘辛の関寿庵」では日本酒を使ったスイーツや奈良漬といった食品や、大関のしぼりたて原酒などを購入することができます。
「店名は、日本酒の味わいを示すときに使う『甘辛』と、以前この近くにあった茶室の名前『関庵(せきあん)』と、久寿川(くすがわ)からの一文字を組み合わせて付けられました」と、同店店長の脇本公康さん。
2001年のオープン以来、「酒づくりで欠かせない水・米・ぬか・酒かす、そして酒そのものの、可能性とチカラを新しい発想でかたちにする」とのコンセプトに沿って、商品開発・販売を行ってきたといいます。
冷めても固くならない、ふっくらとした酒まんじゅう
とおかしの赤い帯が黒い箱に映えます
フタを開けると酒まんじゅうが6個。少し温めてもおいしくいただけるそう
脇本さんによると、「御神酒まんじゅう」は、同店の人気商品「酒寿(さかほがい)」に「大関」の焼き印を入れていないものとのこと。
「表面に焼き印が入らない分、いくらかソフトな食感です。もちろん、おいしさはそのまま。うちの酒まんじゅうは、こしあんの中に大吟醸の原酒を加えて炊き上げているのが特長です」
御神酒まんじゅうを口に入れると、ふわぁっとお酒のいい香りが広がります。よそにはないものを目指した、酒蔵ならではの酒まんじゅうだというのがうなずける味わいでした。ちなみに、皮の部分にはお酒や酒かすなどは入っていません。きわめてシンプルに、こしあんの味や香りの邪魔をしないよう仕上げているそう。また、そのほうが冷めても固くならないのだとか。
実は、店長の脇本さんは、これまでに全国のいろんな酒まんじゅうを味わってみたそうです。「お腹が空いていれば何を食べても『おいしい』と感じやすいので、あえてお腹がいっぱいのときに食べてみて、自分が『おいしい』と感じるかどうか、試してみるんです」
そうしたリサーチが、「甘さ控えめで食べ飽きない」風味のバランスを導き出した秘密のひとつなのではと思いました。
ショーケースを眺めるのも楽しい、ユニークなスイーツの数々
スタッフの方の優しい応対も印象的
エントランスのドアを入るとすぐ正面にあるのが、スイーツや食品の販売コーナー。こちらには、「どんな味?」と興味をひかれるものが多数並びます。
お酒と酒かすが入っている「酒フィナンシェ」はリッチな風味
大吟醸の原酒を煮詰め、シロップ状にしたものをたっぷりとしみ込ませた「酒カステラ」も人気
暑いシーズンに好評という「酒ゼリー」
「酒カステラ」「酒フィナンシェ」「甘酒タルト」など、ユニークな商品の説明をスタッフから聞きつつ試食していたら、どれもおいしくてヒット!取材をしばし忘れて(笑)、予定外の買い物をしてしまうという一幕もありました。
脇本さんは主にお酒の販売コーナーを担当。「気軽に何でも尋ねてください」
もちろん、お酒の販売コーナーも充実しています。さまざまな日本酒や焼酎のボトルがずらり。すぐ側にある酒蔵から直送の純米酒と大吟醸の生原酒、鹿児島で作られた本格焼酎などを量り売りで購入できます。試飲(有料)もあり。
日本酒が好きな人はもちろんのこと、スイーツも楽しめる同店。取材の最後に、魅力的な商品の数々に「すごいですね......」と思わず私が口にした言葉に、「でもね、全部遊びがてらでもあるんです」と脇本さんはにっこり。試行錯誤と努力と、この軽やかさがさまざまなスイーツを生み出す原動力になっているのかもしれません!
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「毎月十日はとおかしの日」。西宮のスペシャルな銘菓を楽しめる特別な機会をお楽しみください。
※11店舗の「とおかし」は、こちらの 紹介リーフレット(PDF:2,582KB)でご覧いただけます。
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- 市野亜由美
西宮市在住のライター。"どこへでも実際に行ってみたい派"です。読者に「私も!」と思ってもらえるような、再現性のある情報を届けられるとうれしいです。好きなジャンルは、食べものやアート
NISHINOMIYA COMMONS編集部
ライター・市野亜由美
甘辛の関寿庵のマーカーリスト
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とおかしプロジェクトについてはこちら 西宮和菓子ブランド発信事業実行委員会HP(外部サイト)
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