西宮市ゆかりの中高生へのインタビュー【第二弾】神戸国際フルートコンクールに歴代最年少出場!脇坂 颯さん
更新日:2018年1月16日
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県立西宮高校3年生・脇坂颯さん
世界に羽ばたくフルート奏者、脇坂 颯さんにインタビュー
世界各国の有望な若手フルート奏者の登竜門と言われ、入賞者が世界で活躍する神戸国際フルートコンクール。世界3大フルートコンクールの1つとして4年ごとに開催されます。2017年に行われた第9回の神戸国際フルートコンクールに、日本人歴代最年少で出場し、奨励賞を受賞した脇坂 颯さん。兵庫県下の公立学校では唯一の音楽科がある県立西宮高等学校に通う高校3年生の彼女、おっとりとした表情の内に秘められた、フルートへの情熱を伺いました。
フルート:主な大会での記録・活動
- 2017神戸国際フルートコンクールに日本人最年少で出場し、奨励賞受賞
- 2015全日本学生音楽コンクール フルート部門 高校の部1位
- 2014全日本学生音楽コンクール フルート部門 中学校の部1位
吹く楽しさは、子ども時代から変わらない。
フルートを初めて手にしたのは、6才のころです。幼稚園を卒園するタイミングで、友達のお母さんと私の母の間で「同じ習い事をさせよう」という話になり、母たちが選んだのがたまたまフルート教室。親が音楽をしていた訳でもなく、フルートとの出合いは偶然なんです。
そこから小・中学校とフルートを習い続け、今は県立西宮高等学校音楽科でフルートを専攻。大学も音楽大学に進みたいと考えています。
学校でのレッスンもありますが、練習のベースとなるのは放課後の自主レッスン。基礎練習からはじめて曲の練習へ、日々3時間くらいは練習しています。今までずっとフルートを続けてきたのは、単純に"吹くことが楽しい"から。フルートは、オーケストラで吹いた時にその存在感を発揮する楽器。ほかの楽器と比べて音は小さいですが、すごく澄んだ音が魅力的なんです。
愛用のフルート
音楽科では、オーケストラ演奏に苦心。
これまでを振り返って、一番しんどかった時期をあげるなら高校に入った当初だと思います。音楽科のオーケストラでの合奏というものに慣れるまで苦労しました。それまで演奏といえばソロがほとんどで、多くても小編成の4人での演奏。だからオーケストラの一員としての演奏はほぼ初めての経験で、わからないことばかり。ひとりで演奏するのとは全く違う状況に戸惑い、それまで何気なく吹けていた演奏まで難しくなった時期がありました。そんな状況を解消してくれたのは、やはり日々の練習。自分のパート練習だけじゃだめ、フルートの出番のタイミングを掴むことが重要だとわかったので、オーケストラの映像を見てほかの楽器の演奏もすべて把握。すると徐々に、タイミングが掴めるようになり、合奏というものに慣れていきました。
そんな風に慣れない状況に悩んだ経験はありますが、やめたいと思ったことは今まで一度もありません。フルートは好きなことなので、自然とやる気が湧いてくる。フルートのこととなると「なんとしてもできるようになりたい」って思えるんです。
憧れだった神戸国際コンクールの舞台へ。
2017年の大きな出来事といえば、神戸国際フルートコンクールの出場です。「いつか出てみたい」とずっと憧れていた、4年に1度のコンクール。前回2013年の開催時は、観客として期間中ずっと通いました。客席から聞いた音はどれも本当に素敵で、憧れがより強くなったんです。その舞台に、まさか自分が立てるなんて。実際、舞台に立った時も信じられない気持ちでした。演奏することも、ほかの演奏者のみなさんの完璧な演奏を聞くこともとても楽しかった。一方で、国際コンクールの高いレベルを肌で感じ、自分はまだまだだとも感じました。2021年の次回も、またぜひ応募したいと思っています。
神戸国際フルートコンクールのプログラム
コンクールでは必ず結果が出ます。そして、それまで練習を重ねたからといって思ったような結果が出ないこともあります。けれど、自ら応募しないと何もはじまらない。私も中学生の時、全日本学生音楽コンクールに3年連続で出場したのですが、正直、1年生から良い成績が取れるだろうと思っていたんですね(笑)。でも1年生では3位にも入れなくて、2年生、3年生と出続けた。そして3年生の時ようやく1位をいただくことができました。いくら好きなことであっても、しんどいなと思う場面もある。でもそこから続けていくことが、とても大切だと思います。
挑戦する勇気を大切にしています
自分らしく明るい音色を追い求めて。
いつも高校の卒業演奏会をさせていただいている兵庫県立芸術文化センターをはじめ、響きの良いホールでの演奏は楽しいもの。演奏会に来てくださる方からの「今日の演奏よかったよ」という言葉に勇気をいただきます。
実は2018年1月に、ファースト・リサイタルがありまして。ひとりで観客のみなさんを楽しませる大役ですが、今は不安より楽しみの方が大きい。今まで何度も演奏してきた本当に好きな曲ばかり演奏する予定です。中でもお気に入りは『ミニヨンの主題によるグランドファンタジー』。ミニヨンというオペラ曲をフルート用に編曲して作られたもので、コンサートやコンクールなどでもよく演奏される有名な曲です。いろんな歌の旋律を組み合わせた構成になっていて、オペラみたいに場面がどんどん移りかわっていく。吹いている自分まで楽しい気持ちになれる、そんな曲です。
演奏者としてのこれからの目標は、フルートの音を進化させること。今の私の音は、あまり明るい音ではないと自覚しているので、もっとフルートらしい華やかな表現を身につけていきたいです。
NISHINOMIYA COMMONS編集部