『第18回 西宮洋菓子園遊会』(前編)今年のテーマは『スイーツライブ』。準備から本番直前までの様子をレポート!
更新日:2017年11月6日
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シミュレーション会の様子をレポート
例年にも増して高い抽選倍率となりました
今や西宮の秋の風物詩となった『西宮洋菓子園遊会』。「西宮のスイーツをコース仕立で」が名物の、毎年、応募者が多く抽選となる大人気のスイーツイベントです。第18回を迎える今回の応募総数は、参加者計100名に対しての3000名越え。12時半からの回はなんと37倍、15時からの回も25倍と、例年にも増して高い抽選倍率を記録しました。今回の『西宮スイーツライブ』という聞きなれないテーマと、昨年までのホテルではない会場が、みなさんの期待度につながったのでしょうか。
確かに、気になりますよね。『スイーツライブ』というテーマ。「ライブ?パティシエバンドの誕生?」と、西宮は"音楽の街"でもあるだけに、そんな妄想をしたのは筆者だけかも知れませんが(笑)。
もちろんそうではなく、スイーツの出来上がる様子を見てもらったり、そこから生まれる音や香りまでも感じてもらうために、"ライブ感"のあるスタイルで楽しんでいただこうというものです。このテーマが決まったのは本番から4ヶ月も前の夏のこと。それから実施に向けて、参加店のパティシエの皆さんはアイデアを出し合ったり、担当を決めたり、試作品を作ったりと、本格的な準備へと進んでいきました。
『西宮洋菓子研究会』の成果やアイデアを形に
9月末、参加店のパティシエの皆さんが、それぞれ担当する皿のスイーツの試作品を持ち寄り、洋菓子園遊会の"本格打合せ"のため集合しました。試作品を皿に盛り合わせ、試食をしながら意見交換。和気あいあいとした雰囲気ながら、「同じような形が並ぶより、変化をつけた方が、、」とか「美味しい!でも、こちらとの相性を考えると、どうかな?」などなど。さすがプロの集まり。見栄えから、味の組合せまで、本気の意見が飛び交います。
西宮は全国的に見ても非常に多くの洋菓子店がある街で、その多くはパティシエが丹精込めて手作りのケーキを作り、その場で販売する"工房型"です。西宮洋菓子園遊会に参加しているパティシエの皆さんも、個々に工房型の店を構える、いわばライバル店同士。それでいて、きちんと意見が交わせるのは、それまでに築いてきた信頼感があるから。
参加店のパティシエは、店の垣根を越えて集まり結成された『西宮洋菓子研究会』のメンバーです。ほぼ月イチで集まり、素材の勉強会をしたり、食材の産地視察をしたり。中でも『西宮洋菓子園遊会』は、研究会で出たアイデアや成果を市民の方々に振る舞える、パティシエの皆さんにとっても大切なイベント。白熱した打合せは、その思いの表れでもあるのでしょう。
そして、『西宮洋菓子園遊会』がよくあるスイーツイベントと異なるのは、企画から実施までのほぼ全てを参加店のパティシエのみなさんで行うこと。スイーツだけでなく、会場の配置からBGM、進行に至るまで、細部に渡り、みなさんで作り上げていきます。
特に今年は、昨年までのホテルの宴会場から、今春に完成した兵庫栄養調理製菓専門学校の新校舎に会場が変更に。2階のオープンキッチンのあるスペースなので、今回のテーマには最適なのですが、いかんせん校舎。音響機材を持ち込み、DJ風のBGMとアナウンスで、会場の雰囲気を作り上げることに決定。本番当日は、そういう所にも注目したくなりました。
シミュレーション会を経て、本番へ
いよいよ『西宮洋菓子園遊会』の開催から1ヶ月を切った10月某日、本番の会場で、シミュレーション会が開かれました。関係者や取材記者を当日のお客さんに見立て、本番と同じように進行していく、最初で最後のリハーサルです。
会場に入った時から、テーマのライブ感はひしひしと。甘い香りはもちろんのこと、パティシエのみなさんがテキパキと準備をしている姿を見ることができるのは、新鮮。メレンゲをバーナーで焼いて仕上げる音までもが、鮮明に聞こえてきます。
DJ風のBGM、オープニングの模様のほか、登場するスイーツの詳細は、本番当日のレポートでご紹介をさせていただくとして、シミュレーション会で得た見処を。
メインとなる3皿は、「秋」「チョコレート」など、それぞれにテーマのあるアシェットデセール。
アシェットデセールとは、皿の上に自由にパティシエのセンスで技術を発揮する、皿盛りデザートのこと。洋菓子園遊会では、1枚のお皿に、2店のパティシエの作品が盛り合わされて提供されます。色や形など見栄えのコントラストだけでなく、味のマリアージュ(食べ合わせ)も楽しみたいところ。個々に味わいながら、両方を交互にいただくと、味わいが何倍にも広がります。
今年は特に、厨房からテーブルまでの距離が近いので、温かいものはより温かく、冷たいものはより冷たく、それらを組合せることにもこだわったとか。出来立てならではの、ここだけでしか味わえないスイーツは特に秀逸。メイン皿からメイン皿へのつなぎとなる小皿の内容にも、コース仕立てを飽きさせない工夫が満載。
パティシエのみなさんがより身近に感じる演出として、ウェディングケーキ作りのパフォーマンスも見ものです。
シミュレーション会は、「みなさんに楽しんでもらえるよう、更なる工夫を重ねて本番に望みたい」と、新田英資実行委員長の力強い言葉で締めくくられました。
本番当日の様子は後日レポートでお届け致します。
どうぞお楽しみに!
>>後編はこちら
中原 明子(フリーフードライター)
調理師、きき酒師。あまから両刀で、「まちたび西宮」では、スイーツツアーのガイドを担当。
NISHINOMIYA COMMONS編集部
フリーフードライター中原明子
兵庫栄養調理製菓専門学校のマーカーリスト