甲子園浜を守る
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甲子園浜は阪神間で数少ない自然の砂浜が残る場所で、磯・干潟が渡り鳥の良好な餌場となるだけでなく、海浜植物や魚、貝などのさまざまな生き物の生息場にもなっています。今回は、多くの人によって守られてきた、甲子園浜の歩みを紹介します。
【問合せ】みどり保全課(0798・35・3678)
自然を 鳥を 守り続けて40年
11月に鳥獣保護区指定を更新
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甲子園浜は、絶滅危惧種のトモエガモなどを含む83種もの鳥類が確認されており、渡り鳥の中継地として国際的に重要な役割も果たしていることから、昭和53年に鳥獣保護区として国の指定を受けました。その後も多くのボランティアや行政による保全活動が継続され、当初の指定から40年を迎える今年11月、鳥獣保護区の指定が更新されました。
鳥獣保護区って?
鳥獣保護法に基づいて狩猟が禁止される区域のことです。県内で国指定の鳥獣保護区は2カ所だけです。
鳥がエサをとれるよう 干潟を再生
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チュウシャクシギ
甲子園浜の干潟は、河川から流れてくる土砂の減少や阪神・淡路大震災での地盤の沈下により水深が増し、シギ・チドリなどの小型の鳥類が餌をとりにくい状況となり、飛来数が減少してきました。このため、平成22年度から環境省による干潟の再生事業が実施され、今年度は武庫川の洪水対策事業により搬出した砂を用い、干潟の再生に取り組んでいます。
地域で活躍する皆さんを紹介 No.21
浜の自然と歴史を伝える
海浜の自然環境を守る会
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前田文信さん(写真左)、東山直美さん(写真右)
メンバーの東山さんは浜の生物に詳しく“はまん婆”の愛称で親しまれる。
浜をきれいにし、浜から学び、浜で遊ぶ
私たちは年4・5回甲子園浜の清掃活動を行っています。参加者は普段は100人程ですが、9月の台風後には250人以上が集まってくれました。他にも、野鳥観察会や大阪湾生き物一斉調査などの学術的な活動、たこ揚げなどで子供に浜遊びを体験してもらうイベントを実施しています。環境を守るためには継続的な活動が必要なので、続けられるような楽しさも大事にしています。
守られてきた浜を、引き継いでいく
甲子園浜は昭和50年頃、住民運動によって埋立を回避した経緯があり、同会発足のきっかけにもなっています。甲子園浜をこれからも守っていくために、自然を体験できるような活動を通して、若い世代にも甲子園浜の大切さを感じてもらえたらと思います。
ぜひ浜へ遊びに
すぐそばの自然環境センターでは望遠鏡で浜の野鳥を観察できるほか、小さな水族館なども楽しめます。ぜひ“憩いの場”甲子園浜に遊びに来てください。
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南甲子園小学校3年生の冬の渡り鳥観察会など、環境学習への協力なども行っています
甲子園浜を訪れて
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石井市長
砂浜にはたくさんのゴミが打ち上げられていて、台風による甚大な被害を目の当たりにしましたが、浜辺に小さなカニを見つけ、その生命力に感動し、思わず手に乗せてみました。
阪神間に残された数少ない自然の砂浜を有する甲子園浜は、これまでに多くの方々の尽力により、良好な自然環境が守られてきました。
手の中で力一杯動くカニの姿に、甲子園浜の素晴らしい自然を未来の西宮に引き継がなければとの思いを強くしました。